社長のひとりごと

社員大工とは?

2023.02.01 社長のひとりごと

弊社では「社員大工」という言葉にこだわっています。

そもそも「社員大工」ってなに?

なんでわざわざ「社員」ってつけるの?

いろんな疑問を持つ人もいると思います。

実は、これには建築業界独特の闇のようなものが影響しています。

町のあちこちで見かける住宅建築現場で働いている大工さんのほとんどは、その建築会社の社員さんではありません。

現在、日本の建築現場で働く大工さんは概ね3つの雇用形態に分かれています。

1.一人親方大工

読んで字のごとくどこの会社にも属さず、一匹狼的にいろんな建築会社から必要な時にだけ呼んでもらって仕事をしている大工さんです。

例えば新築の住宅1棟の大工仕事を請け負って作業をしたり、リフォームなどでは1日当たり〇〇円という日当で必要な日数だけ働いています。

新築の請負では早く済ませばそれだけ多く稼ぐことができますが、常に次の仕事を探さなくてはならない不安定さがあります。

2. 常傭大工

特定の建築会社に所属していて、その会社の仕事だけをしている大工さん。ただし正社員ではなく日当計算の日給月給で保険などの社会保証は個人負担であり、会社からの保証はありません。

新築工事では、物件ごとに金額を取り決めて請負契約をして働いてる場合もあります。

専属で働いているため、次の仕事を探すという不安定さはありません。

3. 社員大工

建築会社に正社員として雇用されている大工さん。一般のサラリーマンのように社会保険制度に加入し福利厚生も整備され、有給休暇等もある環境で大工職人として従事しています。給料制のため大きく稼ぐことはできませんが、安定した環境の中で働くことができます。

町で見かける大工さんの中で一番多いのが実は一人親方の大工さんなんです。

次に多いのが常傭大工。そして最も少ないのが社員大工なのです。

現実に、日本にたくさんある大手ハウスメーカーには大工の正社員なんて一人もいないのですよ!

一昔前まで、職人を目指す人のほとんどは、会社のような組織に属して縛られることを嫌うタイプの人も多く、一人で気楽に頑張った分だけ稼げることと、日本の建築業界が不景気になりだすと、必要な時だけ来てくれる大工さんのほうが合理的で建築会社からすれば負担が少ないという理由からスタンダードになりました。仕事が切れない建築会社は常傭大工という形で雇用するのが双方にとってメリットがありよかったんだと思います。

しかし、その結果、忙しくなると大工なら誰でもいいから来てほしいと、技量もわからない職人に仕事を依頼することも多く、結果的に現場の仕上がりが大工の技量によって大きく左右されることになったりして、欠陥住宅を生む原因にもなりました。

今では、各工程の検査制度などが厳しくなり、大工さんも技量によって自然淘汰されてきた感があります。

ではなぜ、弊社が「社員大工」にこだわるのか?

前述したように、建築会社が大工を正社員雇用するのは会社にとって大きな負担となり、ましてや新卒の見習いを一から育てるというのは非合理的以外のの何物でもありません。

なのになぜ?

日本の建築業界が数十年に渡って、負担を避け、良いとこ取りの、言わば職人の使い捨てを続けてきた結果、日本の大工人口は激減し、危機的状況をむかえています。

小さいころから物作りが好きで将来は大工さんになりたいと思って育ったお子さんが、就職の際に大工職というと、親御さんから「そんな不安定で危険な仕事はやめなさい!」と猛反対されるような職種になってしまったのです。

私たちは、目の前の現実から目を背けることなく、社会保証を整備し、安心して働ける環境を整えて、大工職を目指す若者を育成し、大工という職業をもっと魅力的な職業にする責務があるのです。

弊社に家づくりをご依頼くださったお客様には、弊社の社員大工が責任と誇りをもって、仕事に取り組ませていただきます。

少しでも儲けようと急ぐこともなく、目の前の仕事に向かい合い、将来にわたって安心して暮らせる家づくりのために、これからも「社員大工」にこだわり続けたいと思います。